2020年9月21日月曜日

こぼればなし

 手紙、文書の宛先で、「~殿」はどんな人に対して使うべきものか。一般的には、自分と同格もしくは目下の人に使う、あるいは役職名のときに使う、などとされています。「お殿様」の「殿」なのに、目上の人に対する敬称にならないの、と素朴な疑問を感じたことはありませんか。その通り。もともとは「様」と同じく目上の人への敬称だったのです。それが、何百年という時間の経過のなかで、敬称としての「様」の位置づけが上がり、「殿」が下がってしまったのです。「殿」に、さらに「貴」を加えた「貴殿」についてはどうでしょう。国語辞典で調べれば、「男性が目上または同等の男性に対して用いる」とあります。

しかし、あなたが後輩から「貴殿のご配慮に感謝します」という電子メールを受け取ったら、何やら、バカにされているように感じるのでは。

このように、言葉の意味や使用法は時代とともに変化しています。また、辞書に掲載されているとおりには使われていないケースもあるのです。

もっと身近な例で言うなら、「やばい」という言葉は、「危険が迫っている、良くない出来事が起こりそうだ」という意味でしたが、最近では「最高である」「たいへん良い」という意味でも使われています。都内のデパートにて。若い男性店員が、「お客さん、その靴、マジやばいです」絶句した私は、時代に取り残されているのかもしれません。

0 件のコメント:

コメントを投稿